犬の交配•妊娠•出産

犬の交配


犬の発情は、陰部からの出血で気づくことが多いです。交配を考えている場合は、はじめて出血した日を記録しておいてください。犬の場合、出血が見られてから平均で10〜12日後くらいに排卵することが多く、この時に交配するのが一番です。
ただし、おおよその日にちなので1日おきに2〜3回交配するとよいでしょう。
もし、交配する回数が限られている時は、出血の色が薄くなり始めた頃から動物病院で膣スメア(膣の粘膜の状態)の検査を行い、交配適期を調べてもらうとよいでしょう。

犬の妊娠


犬の妊娠期間は、約63日です。ただし、これは、平均なので早い犬の時は、59日で生むこともあります。最初の1ヶ月は特に目立った変化はなく妊娠しているかどうかは見た目では分かりません。40日を過ぎてくると腹部の出っ張りが見られてくるようになり、その後はどんどん大きくなってきます。ただし産子数(産まれてくる子の数)が少ない場合にはハッキリしないこともあります。
乳腺は、40日頃から張ってきます。出産1週間前には初乳が出る犬もいます。妊娠末期になると胎児が大きくなり胃を圧迫するので、食欲が無くなる犬も見られます。


妊娠診断

交配約1ヶ月後から検査でき、妊娠しているかどうかと大まかな頭数を知ることが出来ます。ただし、正確な頭数は、以下のX線検査まで待ちます。

交配約55日後に行い、胎仔の頭数と大きさを調べます。

妊娠の注意点

体重

太りすぎは、陣痛微弱や、分娩途中でつかれてしまったりと、難産になりやすくなります。適正な体重を維持するように心がけてください。

食事

妊娠40日くらいまで胎仔は小さいのでフードはいつもと同じもので同じ量を与えてください。40日以降胎仔は、急速に大きくなるので、母犬が必要とする栄養分も多くなってきます。しかし、胎仔が大きくなるにつれ今まで通りの量を一度に食べる事が出来なくなる場合があります。
そのようなときには1回のフードの量を減らし、与える回数を増やすようにしてください。目安のカロリーは、50日を超えるあたりに維持量(日常に食べている量)の1.5倍になるように増やします。
出産すると授乳にエネルギーを使うので、更に量を増やしていき出産1ヶ月後には維持量の2〜3倍になるようにします。その後、徐々に減らし離乳時には維持量に戻します。

犬の分娩

分娩の準備

準備するもの

  • タオル(胎児の頭数よりも多めに。フェイスタオルで可。)
  • 絹糸(太めのもの)
  • 消毒薬(ハサミや絹糸を消毒するため、動物病院にあります。)

母犬は、分娩には、薄暗く、暖かく静かな場所を選びます。そのため、出産予定日1週間前くらいから周りを囲ったケージや段ボール箱などの産床を用意しタオルを数枚敷き、母犬がその中に入ることを慣れさせましょう。
予定日の数日前から直腸で体温を測りはじめます。母犬は、分娩前になると通常38〜39度ある体温が37度まで低下します。これが、分娩徴候の一つです。体温が下がり始めたらこまめに測るようにします。
また、分娩12〜24時間前になるとタオルを1カ所に集めたりする巣作り行動が見られます。
母犬が、産床の中で落ち着かなくなり息が荒くなってきたら分娩の第一ステージに入っています。これは、通常6〜12時間くらい続きますが、初産の場合、36時間に及ぶこともあります。そのうちお腹に力が入り、陰部から透明な液の排泄が見られたら第2ステージです。通常お腹に力が入り始めてから4時間以内に胎仔の娩出が行われます。
新生仔は、母犬がへその緒をかみ切り、体をよくなめてマッサージをします。しかし、初産の場合や人間に頼り切ってしまう場合、うまくできないこともあるのでその場合、介助が必要となります。

介助の方法

  1. 胎盤がまだ母犬の体内にあり、へその緒が切れていない場合、へその緒を持ってゆっくりとまだ体内にある胎盤を引き出します。放っておくと胎盤を母犬が食べてしまい嘔吐の原因となることがあります。へその緒が途中で切れてしまってもあわてないで切れた部分を持ってゆっくりと胎盤を引き出してください。胎盤を引き出すことが出来ないときは、先に新生児の処置を行ってください。
  2. 新生児を包んでいる胎膜を破り、乾いたタオルで体全体をマッサージします。この時肺の中に入っている羊水を出させるため、新生児の鼻に口を付け、吸い出してください。
  3. へその緒は、新生児から約1cmの位置を絹糸で結んでください。結んだところから更に1cmのへその緒をハサミで切ってください。
  4. あとは、乾いたタオルで体の水分を拭き取りながらマッサージをしてください。新生仔泣き始め、体がほとんど乾いたら母犬のところに戻してください。

胎児が複数いる場合は、以上のことが繰り返されますが、その間隔は5分〜2時間とばらつきがあります。子供が全部産まれたら終了です。

こんな時には動物病院に連絡を。。。。
•母犬から緑色のおりものが出ているとき
•母犬が、2〜4時間以上不規則な陣痛を繰り返しているとき
•羊水が出て、2〜3時間経っても子供が産まれないとき
•まだ体内に子供が残っているのに最後に産まれてから2〜4時間以上経っているとき
•子供の一部が出ているのに生まれてこず、強い陣痛が続いているとき
•母犬がぐったりしているとき